1859

□糸、紐、綱、ロープ、絆
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雲雀は、最近用もないのに応接室に入り浸る、サボり魔獄寺を視界に入れた。

月刊世界の謎と不思議

そんな雑誌、面白いのかな




すっ、と雲雀は立ち上がり、背にあった机へと足を運んだ。

そして、引き出しの中から一つの袋を取り出し、
店で買ったままの少し洒落た袋を左手と右の指で無残に引き裂き、
中の物を手に取った。


一方獄寺は、雑誌に夢中で、部屋の主が動き出したことにさえ気付かないようだった。


「獄寺、」

雲雀が発した声に、獄寺は
はっ、と雑誌から顔をあげる。

「なんだ?」

二人の視線がバチリとあった。


「獄寺、ちょっと…。
雑誌読むの止めて、僕の話し聞いてくれない?」

雲雀が視線を逸らして言う。

雑誌なんか読まないで、僕のことだけを見てよ

と言う意味を含んで。



そんな意味が含まれているなどとは思わない獄寺は
ただ、自己中心的で俺様な雲雀がそんな言葉を発したことへの驚きを感じていた。

そして、
雑誌を閉じて、なかなか話し出さない雲雀を見詰める。


雲雀は、獄寺と目を合わせないまま、
獄寺の背後へと移動した。


「なんだ?」

雲雀の方へ向き直ろうとする獄寺を雲雀が手で制し、

ちょっとじっとしてて

と呟いた。
獄寺の耳元で。



「目、閉じて?」

「雲雀…?」


首に伸ばされた白い手に、獄寺はビクッと小さく震えたが、

「怯えないで、大丈夫だから」
という優しい調子の言葉に再びされるがままな状態になる。



はたと獄寺は気付く。
なんで自分は、雲雀からされるがままになっているんだ?と考える。
今だって、怯えてねぇ!って反論するところ…。

しかし、そんな理由など、いつも応接室に入り浸っている自分なら簡単にわかることで…。


俺はどんだけコイツに惚れてんだ



と、目を閉じながら心の中で溜息をついた。



 
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