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□みっつのねがい
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「「誕生日おめでとう!」」

「えっ、あ、…ああありがとうございます十代目!」

「え、獄寺、オレは?」

「あはは、獄寺君その反応、もしかして自分の誕生日忘れてた?」

「獄寺ならありそうなのなー」

「あ、はは…お恥ずかしながら」







放課後、校内巡回中
そんな会話を聞いた


嘘だなと思った


きっと彼は今日を忘れたりはしない
たとえどんなことが遇ったとしても











みっつのねがい















まだ昼間は暑い日が続くが、夕暮れ時の屋上となると風が冷たく少し肌寒かった


それでもそのことで僕に文句を言うのは間違っているだろう


さみー…ヒバリ、なんとかしろよ


と煙草の煙を吐きながら吐き捨てられてイラつく


だが、そのセリフへも喫煙についても今日だけは何も言わないであげる
正確にはもう暫くの間は言わないであげるけど








「君が何を思うか知らないけど」


「何を思うかって…、寒いと思ってる」



「節を折るなバカ
…君が今日何を思うか僕はわからないけれど」



獄寺は目を丸くして僕の方を見てから、そっと伏せた

話を続ける





「だけど僕は誕生日だからって何をしてあげればいいかわからない。きらびやかなパーティがお望みかい、それとも甘いケーキ?違うだろう?だから
今日は君の願いをみっつ、僕が何でも叶えてあげる」






誕生日プレゼントだよ


と青空を見て言ったら、獄寺は笑うような泣いてるような変な顔をした




「……みっつだけかよ、」




そんな変な顔でやっと言葉に出来たのはそんな皮肉だったらしい
しょうがないから彼の彼を見てあげた





「みっつなんてテキトーに言っただけ。少ない方が有り難みが増すだろう?本当は君が望むだけ何だって」




微笑めば、
今度は泣きそうな顔をした彼は、
自分でもわかっていたのか、俯いて表情を隠した




「……、何でも…?」



「うん」




「…ほんとか?」




「僕が君に嘘付いたことあるかい?」




「………じゃあ、抱き締めろよ」









君が今日何を思っているのか僕は知らない

君が今日どれだけ苦しいのか僕は知らないけれど
 









「これだけで満足なの?」









隙間がなくなるくらいに抱き締めて尋ねると










「なわけあるかよ!」








という泣き笑いが返って来た

















君の願いを言ってご覧

僕は此処に、いるから










†END†





 

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