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□鬼ごっこ
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俺は小さい時からマフィアの仕事をしていた

8歳で家を飛び出して、それからは毎日が生きるか死ぬか
細い蜘蛛の糸の上を歩くような、毎日


それでも生き延びて今ここにいる




何度も殺されそうになった
何度も死にそうになったが、俺はどんなこともかい潜り生きて来た











………そんな俺の人生を

全て、否定されたようだった………













「はぁ、はぁ…ふっ、て、めぇ……」




余りにも簡単に後ろを取られた

余りにも簡単に…








今までこんなことはなく生きて来たんだ

そんなに簡単に俺の後ろを取れる奴なんてそうそういなかったし、
居たとしても間一髪で俺の方が速かった




それなのに、



ただの一般人に



負けるなんて……




 






「案外呆気なかったね、」

「君、マフィアなのにそんなんで大丈夫なの?」

「それで『十代目』を守れるの?」

「もうちょっと張り合いがあるかと思ったんだけどな」

「簡単に後ろを取られるなんて、」

「それでもマフィアなの?」

「遅いね」

「鈍いし」

「僕は全然なのに随分息が上がってるね」

「ま、結果は見えてたけど」

「思った通り、僕の勝ちだね」

「君の負けだよ。獄寺隼人、」






雲雀の言葉の刃が

今まで俺の身体に傷を刻んで来た
ナイフやピストルよりも遥かに鋭く、
俺にぐさぐさと突き刺さる



容赦のない言われようにも反論する元気はなかった





ショック過ぎた










全てが





 
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