モノクローム
□幸運少女
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ずぶ濡れになって仕舞った不良たち
私を諦め撤退すれば良いものの、安いプライドが許さないらしく、またかかって来ようとしている
私は静かにこの状況をどう切り抜けるかを考えたが、なかなかいい案は浮かばず
はぁ、
と溜息を付いた瞬間、
不良が一人、
吹っ飛んだ
「てめぇら、女一人に何人がかりだこら」
まず、目を疑った
自分でもわかるくらい、目が真ん丸になって、
そして頬に熱が集まった
来たっ!来てくれたっ
「獄寺君っ!!」
×××
それからは早かった
ダイナマイトは使えない獄寺君は、素晴らしい体術で不良を蹴散らした
と言っても二、三人を戦闘不能にしたら他の奴らは逃げたのだが、
獄寺君が現れたあたりから小降りになっていた雨は、獄寺君が
「果てろ!」
と、最後の一人に向かって叫んだ時には止んでいた
×××
「なんだよあいつら、ふざけやがって…」
私が差し出したハンカチで、雨で濡れた髪を拭く獄寺君が不機嫌そうに言う(ハンカチ持ってて良かったっ!)
「助けてくれて有難う。
だけど獄寺君、待ち合わせ時間の15分後に登場するヒーローなんて聞いたことないよ」
腕につけていた時計を見せながらそうからかえば、
悪かったよ…
と眉を下げた
いぬみたいで、可愛い…
「いいよ、想定の範囲内だから。でも、本当に有難うね!」
「範囲内かよっ!…悪かった…次は無ぇようにすっからよ。でも、お前が怪我しとしてねぇで良かった」
輝かしい程の笑顔と、
『…次…』
その言葉に、
私は一瞬、いや、結構ながい間思考がストップした
「?ぉ、おい、椎音?遅れてごめ…」
「おい獄寺、椎音」
獄寺君の言葉を遮り、
彼が現れた