*ShortShort*

□恋に生きる人
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 恋に生きる人にはなれない。

 なれないんじゃなくて、なる権利というか資格がない。


 ひとりでいるのが寂しくなるたびに、あたしは毎回違う男と寝た。
 でも、あたしのことをただひたすらに愛してくれる人ができた。
 その人は何も知らない。あたしが今まで何をしてきたのか。

 その人があたしを愛してくれるようになってしばらくは、あたしはほかの誰とも寝ていない。
 会うたびに大好きと言ってくれる。
 一生のうちにこんなに愛せる人間はあたしひとりだけだと言ってくれる。
 あたしも彼のことが好きで好きでたまらなくなった。
 好きすぎて好きすぎてもうどうしたらいいのかわかんない。
 四六時中いっしょにいたい。

 でも、やっぱりあたしはあたしだった。
 またほかの男とセックスしたくなった。
 彼とのセックスが物足りないんじゃない。
 むしろ、すごく愛してくれてるのが伝わってきて、幸せになれる。
 それでも、あたしの体は男を求めてしまう。
 心の中では彼を愛する気持ちと、ほかの男を求める気持ちがぱっくり分かれている。
 うまく説明できないけど、愛とセックスは別とでも言うのだろうか。

 やっぱりあたしは人を愛する資格がないんだなあ。

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