12/18の日記

19:33
小ネタ(復活)
---------------
奈々ママン成り代わりの続きです


えーと、今回はヒバリくんと知らずに出会います(言っちゃった!
――――――



「あら?」

通りかかった並盛公園。
ブランコに座るツナよりちょっと上だろう男の子がいたのに目を留めた。
今は夕方。もう子供たちはお家に帰る時間だ。
私にも子供がいるので、心配になってきて、その子に近寄り声をかけてみることに。

「こんにちは」
「………」

無視されました。か、悲しい…。
ヘコんだけど、気にしないようにして話しかける。

「ボク、一人?お母さんとお父さんはどこかしら?」

すると男の子は私を見て、

「僕を誘拐してもムダだよ」

なーんて言ってきました。
誘拐って!まあ、警戒心はないよりはあったほうがいいとは思うけどね。
全然警戒心がないウチの息子を思い出しながら私はニッコリと笑う。

「あら、どうして?」
「っ、……親は僕のこと、どうでもいいみたいだから」

そうなの、と相づちを打ちながら、私は男の子の隣のブランコに座る。

「帰らないの?」

男の子の質問に、ブランコをちょっと揺らしながら答えた。

「ん?今はブランコに座りたい気分なの。だからまだ帰らないわ」
「……そうなの?」
「そうなの」

ニコニコしていれば、男の子はそう、と言ってそのまま座ったまま。
男の子が帰るまで、私はずっと隣に座っていた。
ま、まあ、家に帰ったら家光さんとツナに物凄く泣かれたりしたけどね。

だけど次の日もまた、男の子の隣のブランコに座る私がいたりする。


《男の子視点》


変な人だと思う。

「今日は雀にパンクズをあげたら、スッゴイいっぱい来ちゃってね、あの時は襲われちゃうかと思ったわ〜」

変な話もする。
だったらあげなきゃいいのに。そう言えば、その変な人は笑う。

「ん〜そうなんだけどね。つぶらな瞳を見ちゃうとどうしてもあげちゃうのよね〜」

困ったわ〜、なんて言っているけど、全然困った感じじゃない。
その変な人の名前は知らない。僕の名前も相手は知らない。
別に知らなくても何の問題にもならない、と思う。
どこに住んでいるのか、家族はいるのか、それさえ知らない。
ただ、左手の薬指にある指輪の存在で彼女が結婚しているということが分かる。
でも、彼女はその話題には触れずに、今日あった何気ないことを楽しそうに話すだけ。
もしかして、僕に気を使っているのだろうか。
話し続ける彼女を見て、そんなことを思う。
初めて会った時、誘拐犯扱いしたにも関わらず、彼女は怒らなかった。今までの奴らは不快に思って僕を放っておくのに。
やっぱり変だ。分からない人間は僕を不快にするだけなのに、なぜか彼女のくだらない話を聞いている自分がいる。
変。変。

「…ホントに変」
「ん?何か言ったかしら」

どうやら声に出ていたらしい。

「何も言ってないよ」

そう答えて、下を向く。
チラッと視線を上げれば、彼女が笑っている顔が視界に入る。

(変…だけど、一番変なのは、僕)

また明日も会えるといい。
そう思っているのだから。

前へ|次へ

コメントを書く
日記を書き直す
この日記を削除

[戻る]



©フォレストページ