成り代わり

□視線の先
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………どうしよう。ほんとどうしようっ!

何を慌てているかと言いますとですね。
三好たちが……どこかの農民さんたちを連れてきたんですっ。おそらく北の方の!人質ですとか言われても困るんですけどぉおおおお!?
しかもこれって、もしかしなくても、英雄外伝の慶次ストーリーなんじゃぁ。

あの覇王誕生のキッカケ話ですか!?

…こ、これは、私が悪役として頑張らにゃならないんですか?覇王を目覚めさせるために?
できるかなぁ…。緊張で心臓の音がバッコンバッコン煩いですよ。
良心痛むけど、頑張れ私!悪役に徹しろ!

なんて自分を鼓舞していると、部下が侵入者を捕らえたと報告してきた。
行ってみれば、そこには秀吉さんが。
やっぱりーー!!!

よ、よし、こっからは本番だぜぇい!

ゆったりと私は秀吉さんの方へと歩く。
えーと、何て言おうかな。


「ふむ、若い君は知っているかね。力の無い者は何をされても仕方がないということを。君は世の真理を味わったのだ」


こんな感じ?とりあえず力が無い無い言っとけばいいかな。
そしてしゃがみこんで、俯せになってる秀吉さんの髪を掴んで顔を上げさせる。すみません!
目が合うと、秀吉さんが目を見開いた。どうしたんですか?


「そして、君が相手にしたのはそういう人間なのだよ」


ニッコリ笑って、手を離す。本当にすみません!
心の中では謝りつつ、私は秀吉さんに背を向ける。




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