成り代わり

□月見酒
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※華伊絵様のみお持ち帰って宜しいです。






どもどもこんばんは。
夜空に浮かぶ、静かに輝く月と、星の海は大変素晴らしい光景です。天然のプラネタリウム。

そして目の前には神々しいばかりの謙信さんが。
この間約束していた月見酒が今宵、実現したんですよ!


「どれ、謙信よ。酌をしよう」

「これはいたみいります」


謙信さんの杯にお酒を注ぐ。
そしたら謙信さんに私が持っていた徳利を取られた。


「では、わたくしもしゃくをいたしましょう」

「うむ、お主に酌をしてもらうと酒が格段と美味くなる」

「ふふ、あいかわらずくちがうまいですね」


口元に手を当てて笑う謙信さんの周りに華が見える。今夜も素敵ですね。
私は並々と注がれたお酒を、グイッと呷った。
喉が焼け、臓腑が熱くなる。
あー、もう、酒の肴が大変素晴らしいので、お酒を飲むペースも早くなるってもんですよ。
……そういや、謙信さんって酒豪なんだよね。
なんて考えながら私は杯を掲げる。


「今宵の月は、一段と美しいのう。お主に見つめられているからかも知れぬな」


どうやら酔っ払っている私は、ホロ酔い気分で恥ずかしいセリフを恥ずかしげもなく口に出す。
……いや、いつも気障なセリフ言ってるけどね。
なぜか言っちゃうんですよ。謙信さんを前にすると!


「わたくしには、あなたさまにみつめられ、つきがよろこんでいるようにみえますよ」

「フ、謙信。お主も口が上手い」


照れちゃうんですけど。



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