成り代わり
□素顔
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…最初は彼、素顔だったんだけど、ある日突然、
『秀吉だけに辛い思いはさせないっ』
と言って、仮面を付け始めたんですよね。
辛い思いって、何?
「何だよ半兵衛。秀吉に自信つけさせようと思っただけからさ、そんな怖い顔するなよ。大丈夫。秀吉は男前だから、顔とか関係なしにモテるよ」
「それが余計なお世話なんだよ君は。秀吉の素晴らしさを顔ごと愛せる度量を持つ女なんて、そうそういやしない。…秀吉に女は不要なんだ」
「そんなの、やってみなくちゃ分かんないだろ?恋でもすりゃあ、秀吉だって、自分に自信がつくって」
「…君のその楽観的な思考にはほとほと呆れるよ。秀吉が傷ついたらどうする気なんだい」
………あのー、いったい、何の話をしてるんですか?
自信とか何とか言われても、意味がよく分からないんですが。
ハテナマークを頭上に点灯させる私に、慶次は握り拳を作って言った。
「男は顔じゃない!だろ、秀吉?」
「は……う、うむ、俺もそう思うが」
「ほら、秀吉もこう言ってるんだ」
慶次が半兵衛さんを見たので、私も視線を向ければ、半兵衛さんはプルプルと震えていた。こ、怖いよ半兵衛さん。
「秀吉に女はいらないっ!僕だけで充分だ!それに、僕なら秀吉の顔ごと受け止めることができる!」
ぅおお、激昂しだしたよ。
ってか、本当に私ってば半兵衛さんに好かれてるよねぇ。
て、照れる。ってか、なんでさっきから私の顔に拘ってるの?
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