成り代わり
□素顔
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※御崎重治様のみお持ちかえって宜しいです。
ハロー、皆さん。なぜか豊臣秀吉に生まれ変わっちゃいました。
秀吉って!あの猿猿言われる人だよね!?
だけど私の容姿は全然、秀吉さんと違うし、猿と呼ばれる容姿でもない。
あれ?このままだと私、猿というアダ名をつけてもらえないよね?
豊臣秀吉=猿っていうアダ名が、私のせいで無くなる。
……それだけはイヤ!!
そう思った私は、近所に住んでいた彫り物師の人に頼んで、仮面を作ってもらいました。
猿を彷彿とする仮面を。
出来上がった仮面は、愉快な猿の仮面っていうより、どこか芸術的な、でも猿だと分かる仮面なもんだから、私は気に入りました。いい仕事したね!
その仮面つけて信長さんの家臣にしてもらいました。
なんか、気に入られたっぽい。
今じゃ、猿猿言われてますよ。よっしゃ!
「秀吉ー!」
「む、慶次か」
慶次とは親友になったよ!
彼は、仮面つけて怪しい人物丸出しの私に声をかけてくれたお人だ。本当に良い人だよね。
私の肩をポンと叩き、にこやかに笑いながら慶次は、
「今から、ちょっくら行かないかい。いい娘がたくさんいるよ」
………なんだろ。怪しいお店に誘う男のようなセリフを言われちゃったよ。
戸惑う私の後ろから、声がかけられる。
「慶次君。君は秀吉になんてことを言うんだい」
「半兵衛…」
後ろを見れば、あの仮面つけた半兵衛さんがいた。
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