成り代わり
□嫉妬
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ヤバい。ヤバいよヤバいよー!
なんで慌てているかと言いますとですね。
なんと私、織田信長に生まれ変わっちゃったんですよー!なんでか知らないけど姿は違うけどね!
ヤバい!私死ぬ!
縁側でお茶啜りながら大往生したいのに、ピンチだよ。
まあ、とにかく、信長さんの口調とか真似して頑張ってたら、気がつけば魔王とか呼ばれてました。
なんでーー!?
…………もうこうなったら頑張って生きていくしかない!
「……にいさま」
妹の市に声をかけられたので、彼女の方に顔を向ける。
ここは応接間っていうのかな、広い部屋で、私は段の上の上座に座っていて、家臣たちが段の下の両端に並んで座ってる。
んで、市は私に近いところに座ってますよー。
市ちゃん、言いにくいのかモジモジしてる。
「どうした。余に申してみよ」
そこで私はニッコリ笑って優しく促す。
でないと口ごもったまま何にも言わなくなるからねー、この妹は。
すると効果があったみたいで、市が口を開く。
「……にいさまは、市を…捨てるの?」
………………は?
きゅ、急にどうしたんだい、お市や。
訳わかんなくて眉間にシワ寄っちゃうよ。
「ご、ごめんなさいっ…」
そしたら泣きそうになりながら市が謝ってきた。…よく謝ってくるんだよね。
私怒ってないよー!?
「謝るでないわ。…誰ぞ吹き込まれたか」
そうだ!そうに違いない!だって可愛がってる妹が、捨てるの?とか言い出したんだよ!?
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