成り代わり
□過保護なお人
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「こ、小十郎、重くねぇか?」
あ、あまりの動揺に違うこと聞いちゃった。
ってか、なぜにプリンセスホールド!?
「いえ、大丈夫です。お運びいたします」
そんなこと言って、本当は重いに決まってる。だって私は(未来では)成人年齢に近い男!
ため息をついて小十郎の肩に腕を回す。
本当に過保護だよね、この人。
「ひ、筆頭!?どうかしたんですか!?」
しばらく運ばれていると、リーゼント兵士が驚いた顔で来た。
「Ah…鼻緒が切れたから小十郎が運んでる」
「そ、そうっスか……羨ま、あ、いや、俺で良かったら、鼻緒の切れたその草履を処分するっス!!」
「お、そうか?なら頼んだ」
もう使えないと思うし、お言葉に甘えようと草履を渡そうとしたけれど、リーゼント兵士が恐怖の表情で固まった。か、顔色悪いよ?
「…政宗様。その草履はまだ使えます」
小十郎のドスのきいた声がすぐ近くから聞こえて、私も固まった。
「いいから自分の持ち場に行け」
「わ、わわわわかりやっしたァ!!!!」
スゴいどもりながらリーゼント兵士は逃げ出した。
ああ、うん。怖いよね。
私も怖いです。
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