リボーン
□今と私と未来とあなたと
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今と私と未来とあなたと@
彼を見たときから私は彼のファンになった。
好きとかそういうのじゃなくて、ただ話をしてみたかった。
本当の彼と話して見たかった。
ツナくんと―――。
ザワザワと人がたくさん集まっている。
今日はツナくんとの握手会。花と一緒に行くつもりだったけれど、興味がないと言われたので、ちょっと前に知り合ったハルちゃんと行くことにした。
「わぁ、ドキドキしてきました」
「そうなの?」
「京子ちゃんは緊張しないんですか」
「緊張っていうよりすっごく楽しみ!!」
そう、緊張していないと言ったら嘘になるけれど、今はすっごく楽しみ。やっと本物のツナくんに見れると思うと緊張なんてどこかに消えてしまった見たいだ。
「あわわ、もうすぐですよ!京子ちゃん!!」
「―うん」
目に彼の姿が写るくらい近くに来た。
「がっ!頑張って下さい!!!」
「ありがとう」
ハルちゃんがツナくんと握手した。するとわぁぁんと泣き出して去ってしまった。唖然としているスタッフとお客さんとツナくん。
私は冷静に彼の前にたった。
「ごめんなさい、ハルちゃん興奮すると泣いちゃうの」
「あっそうなんだ」
そう言ってホッとした顔をしたツナくんがこちらを向いた。
(あっ……)
いつも写真に載っているような顔じゃなくって私が見たかった本当のツナくんみたいな顔。
「…ツナくんでもそういう顔するんだね」
私がそう言うと後ろにいた小さな赤ん坊がツナとたしなめた。
(戻っちゃった)
そして、私が出していた手をとって握手した。
「………」
じーっと目を見ていた。
「…あの」
「あっごめんなさい」
慌てて視線をずらした。
「何かついてる?」
「あっえーと、やっぱり優しい目をしてるなぁと思って」
近くでみても優しくて強い目だった。
「1番最初に見たときから、優しい目だなぁと思ってたんです、私」
そう言うと彼はこれでもかってくらい目を大きく開けて驚いていた。
「ツナくん…?」
「あっのその、ありがとう」
ギュともう一度握手して私の番が終わった。
最後に私だけに見えるように見せた笑顔が、心に強く残っていた。
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