スマブラ

□不器用な想い
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最近俺は気になって仕方がない奴がいる。
…ピットだ。

気が付くと目で追っている。
目が合い話しかけられると嬉しくなる。
笑顔を見ると何故か動悸がする。
他の奴と話しているのを見るとなんとなく気に入らない。

一体この気持ちは何なんだ。

いくら考えても分からないのは俺の頭が悪いからか?
誰かに聞いてみれば分かるのだろうか。
この不可解な気持ちの正体が。










「ねぇアイク、それは恋なんじゃないかな?」

思いついたら即実行とばかりに廊下でバッタリ会ったマルスに聞いてみたところ、そう答えられて俺は首を傾げた。

「…恋?」

「そう。恋だよきっと」

そう言ってマルスはにっこり笑う。
男の俺でも見とれてそうになるほど綺麗な笑顔。
でも、ピットの笑顔の様にドキドキしたりはしない。

「…俺もピットも男だが」

そう言うとマルスはクスッと笑い、こう言った。

「ねぇアイク。人が人を好きになるのに性別なんて関係無いんだよ。ピットのこと、好きなんでしょ?」

「それは………好き、だが…」

「確かに、世間の恋人たちのほとんどは男と女の組み合わせだし、同性にそういう目で見られるのが嫌な人だっているだろうね。だけど、少なくともここの人達は偏見を持たずに接してくれるよ」

「…何故そんなことが分かるんだ?」

「…アイク。実は僕、ロイと付き合ってるんだ」

「!?」

「まぁ、積極的に言ったりはしないけど隠しても無いからほとんどのメンバーは気付いてるだろうけどね」

「…俺は、全く気づかなかった」

「まぁ、アイクはそっち方面鈍そうだからね。自分の気持ちもよく分からない位だし」

「…もとの世界でも、たまに言われた。『アイクは鈍感だ』と」

「ふふふ。その光景が目に浮かぶよ」

そんな風に話していると、向こうからロイが歩いて来た。

「噂をすれば…、ってやつだね」

「ああ」

ロイは俺達二人に気付くと少し駆け足でこちらに向かって来た。

「マルス、アイク、二人で何話してるの?」

「それはね、ロイ。僕とロイはラブラブだって話だよ」

少しからかう様な口調でマルスが言うと、ロイの頬が赤く染まった。

「なっ、マルス!?」

マルスはさらに続ける。

「ねぇロイ、アイクはピットが好きなんだって。恋の先輩として何かアドバイスしてあげてよ」

「え?急にそんなこと言われても…」

「俺からも頼む。ロイ、俺はこれからどうすればいいんだ?」

「アイクまで…。どうすればいいって言われてもなぁ………」

そう言いながらもロイは一応考え出した。

「うーん…。とりあえず、好きだって気持ちをピット伝えてみたら?」

「気持ちを、伝える?」

「うん。それに答えてくれるかどうかは別として、人に『好きだ』って言われて嫌な人はあんまりいないと思うんだ」

「…」

俺はロイとマルスに背を向けて歩き出す。

「アイク?」
「何処に行くんだい?」

そう言う二人に俺は振り返ってこう言った。

「思いたったら即実行、だ」










まずはこの想いをピットに伝えよう。
その後どうなるかはピット次第だ。

もし駄目だったら……………またその時考えればいい。

終わり

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