スマブラ
□心の傷
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僕は、本当の事を言えなかった。
「僕にはトレーシーっていう妹がいるんだけど、リュカには兄弟とかいるの?」
「兄弟……………」
「リュカ?」
「あ、ごめん。なんでもないよ。兄弟だったよね?…僕はクラウスっていう双子のお兄ちゃんがいるんだ。」
「お兄さんかぁ。仲いいの?」
「うん…。いつも一緒に遊んでた。好物のふわふわオムレツを取り合ったりしたなぁ…」
「ふわふわオムレツ?」
「うん。お母さんの得意料理だったんだ」
「そうなんだ!僕も食べてみたいな!」
「…僕も、また食べたいな」
「おーい!もう飯だぞー!」
「あ!リンクさんだ!もうご飯だってさ。行こう、リュカ!」
「…うん」
僕は言えなかった。クラウスにもお母さんにももう会えないのだと。
ネスは優しいから、言えばときっと自分を責めて僕に気をつかう。
だから今は言わないでおこう。
でも、いつかは。
僕らが心の底から分かり合えるようになったら。
君に教えよう。
僕の心の傷。
終わり