スマブラ

□心の傷
1ページ/1ページ

僕は、本当の事を言えなかった。





「僕にはトレーシーっていう妹がいるんだけど、リュカには兄弟とかいるの?」

「兄弟……………」

「リュカ?」

「あ、ごめん。なんでもないよ。兄弟だったよね?…僕はクラウスっていう双子のお兄ちゃんがいるんだ。」

「お兄さんかぁ。仲いいの?」

「うん…。いつも一緒に遊んでた。好物のふわふわオムレツを取り合ったりしたなぁ…」

「ふわふわオムレツ?」

「うん。お母さんの得意料理だったんだ」

「そうなんだ!僕も食べてみたいな!」

「…僕も、また食べたいな」


「おーい!もう飯だぞー!」

「あ!リンクさんだ!もうご飯だってさ。行こう、リュカ!」

「…うん」



僕は言えなかった。クラウスにもお母さんにももう会えないのだと。
ネスは優しいから、言えばときっと自分を責めて僕に気をつかう。
だから今は言わないでおこう。
でも、いつかは。
僕らが心の底から分かり合えるようになったら。
君に教えよう。

僕の心の傷。


終わり

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ