星狐
□隣にいるのは
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ウルフが何か言おうとしたが、それを無視して歩きだす。
「…まだいないと決まった訳じゃ無い。何処かにいるはずだ」
自分に言い聞かせる様に呟いた言葉は、自分でもびっくりするほど弱々しかった。
半ば意識の無い状態でその辺をフラフラ歩いていると、見覚えのある赤い帽子が近づいてきた。
「ねぇフォックス!ファルコと喧嘩でもしてるの?さっきまでここで一緒に話してたのに、フォックス見たとたんに逃げるみたいに何処かに行っちゃったんだけど」
「!ネス、それは本当か!?ファルコがここにいたのか!?」
「う、うん。こんな嘘ついたって仕方ないよ」
「それで、ファルコは何処に行ったんだ!?」
「何処かは分かんないけど、向こうの方に…」
「向こうだな!」
俺はネスが全部言い終わるのを待たずにネスが指差した方へと走り出した。
何故こんなにもファルコに会いたいのか。
ファルコに会ってどうするのか。
何を言いたいのか。
ファルコのことがそういう意味で好きなのか。
…全部分からない。
だけど、とにかくファルコに会いたくてたまらなかった。ひたすらファルコの姿を求めて走り続ける。
「ファルコ!」
そして見慣れたその後ろ姿を見つけた時、俺は走っていた勢いのままその背中に抱き付いた。