星狐

□隣にいるのは
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後から他のメンバーに聞いたところによると、俺はファルコがいなくなって以来かなり酷い状態だったらしい。

「常に上の空で、耳や尻尾を触ると普段は嫌がるのに気付いてもいない風だった」とか。

「名前を呼んでも返事をせず虚空を見つめていたり、かと思うと急に立ち上がり部屋の中を歩き回りながら何かブツブツ呟いたりしていた」とか。

「夜中にたまたま目が覚めてファルコの部屋の前を通った時、何気なく中を覗いたら真っ暗な中で黙って床に座り込んでいた」とか。

俺は全く覚えていないが、全員口を揃えて言うのだから本当なのだろう。

実際、俺の様子を見て「この状態で任務は危ない」と判断した仲間達が俺の知らないところで依頼を全部断っていたことにも、俺は全く気づかなかったのだ。






そんな時、俺の元にスマブラXの招待状が届いた。
ちなみに、招待状といいつつ「行かない」という選択肢は存在しない。
マスターハンドとクレイジーハンドが迎えに来て、有無を言わさず連れて行かれるのだ。

「スマブラか…。皆元気かな」

DXの時のことを思い出す。
乱闘はいつもキツかったし、個性的なメンバーばかりでよく小競り合いもあって大変だった。
でも、皆で過ごすのはとても楽しくて充実した日々だった。

「そういや、ファルコが来た時はビックリしたなぁ…」

思い出してふと気付く。
俺の元に招待状が来たのだから、ファルコも招待状を貰っているのではないだろうか。

スマブラXに参加すれば…ファルコに会えるかもしれない。

そう思うと、心が少し軽くなった。
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