星狐

□隣にいるのは
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手紙を読み終わったあと、俺はファルコの名前を呟いた。

「ファルコ…。俺は………」

俺はこの場にいないファルコに何か言いたかった。
だけど、後に続く言葉が見つからない。

ファルコは俺のことが好きなのだという。
俺はそのことを気持ち悪いなんて思わなかった。
…なんでだろう?

俺の中にあるファルコへの気持ち。

思えば、いつも隣にいるのが当たり前だった。
そう、ファルコはいつも俺のすぐ傍にいてくれた。
いつだって俺を支えてくれた。

だけど、いなくなった。
もう二度と会えないかもしれない。
そう考えるとたまらなく切ない気持ちになった。
俺は、ファルコのことが好きなのだろうか?
仲間としてでなく。
恋愛対象として。

でも、俺が好きなのはクリスタルのはずで…。
だけど今、俺はファルコの事を考えると胸が苦しくて…。
考えれば考えるほど解らなくなる。
俺が本当に好きなのはどっちなんだ?

…解らない。
そもそも、俺がクリスタルを好きなのは恋愛感情なのか。
考えているとそれさえ解らなくなる。

ふと、俺が悩んでいるといつもファルコが相談にのってくれたことを思い出した。

俺が何かを悩んでいると、例えどんなに隠してもファルコはそのことに気付いた。
そして、「一人で抱え込むな」と言って俺からその悩みを聞き出し、励ましたり叱ったりしてくれた。

だけど今は…。

ファルコはいない。
俺は自分一人でこの気持ちに答えを出さなければいけないのだ。
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