星狐

□隣にいるのは
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それは、不器用な手紙だった。

『フォックス。お前がこれを見つける頃には俺はもうそこにはいないはずだ。
だがな、そのことで自分を責めたりするんじゃねえ。
俺は別に、スターフォックスにいるのが嫌になったとか、お前のことが嫌いになったとか、そういう訳じゃねぇんだ。

気付けは、俺はいつだってお前の隣にいた。
そして、いつの間にか俺のなかでそれは当たり前になっていた。
俺は、「このままずっとこいつの隣にいるのも悪くない」と、そう思っていた。

だが今、お前の隣にはクリスタルがいる。
俺は最初そのことに違和感を感じた。
今まで自分がいた場所に、別の奴がいるってことにな。

だけど、考えてみりゃあそっちの方が自然なんだな。
俺もお前ももういい歳だ。
恋人がいることはなにも不自然なことじゃねえ。
まぁ、いつまでも男同士でじゃれあってるわけにはいかねぇよな。

だがな、俺は思っちまったんだ。
お前の隣を誰にも譲りたくねぇって。
…おかしいだろ?
けど、本当にそう思ったんだよ。

そして俺は気付いたんだ。
俺はお前のことが好きなんだって。
仲間とか、友人とかそういうんじゃなく。
恋愛対象として。
俺もお前も男なのにな。

自覚しちまったからにはもうここにはいられねぇ。
最近俺は、おまえがクリスタルと話してるのを見るだけでもイラつく。
くだらねぇ嫉妬だ。
笑っちまうよな。

すまねぇフォックス。
男の俺がお前を好きだなんて、気持ち悪いだろ?
本当はこの事は黙ってようと思ったんだが、やっぱり伝えるだけ伝えたいと思ったんだ。
もし不快になったんなら、こんな手紙無かったことにして破り捨てちまっても構わねぇ。

俺はもうスターフォックスには戻らねぇ。
偶然会っても声もかけねぇつもりだ。
じゃあな、フォックス。

…好きだったぜ。

ファルコ』
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