星狐
□羽毛100%
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俺はたまにどうしても眠れないことがある。
そんな時、特別な枕を使うと不思議とよく眠れる。
抱きしめると少しゴツゴツした部分もあるけど、温かくて安心出来る、羽毛100%の抱き枕。
いつもの様に明かりを消してベッドに入る。
…眠れない。
身体は休みたがっているのに目が冴えてしかたない。
(またか…)
今日が初めてではない。たまにあるのだ。
寝ようと思えば思うほど意識は覚醒してくる。
そんな時、頭の中に浮かんでくるのは忘れたいと思う様なことばかり。
そして眠ることも出来ず精神的には憔悴して朝を迎えるのがいつものパターン。
…だった。
「また、朝まで眠れないのか…」
ベッドに横たわったままそんな諦めを含む呟きを洩らす。
その時、ふいに部屋のドアが開いた。
「たまたま部屋の前を通ったら声が聞こえたから、もしかしてとは思ったが…やっぱり起きてたのか」
ファルコだった。
「…勝手に人の部屋に入るなよ」
「フン、せっかく心配して来てやったってのに第一声がそれか?」
「心配?」
「お前、たまに朝やけに疲れた様な顔してるだろ?眠れてねぇんだろ」
「…気付いてたのか」
「まぁな。何かあるのか?眠れない理由が」
「ファルコ…。実は俺…」