幕末恋華 花柳剣士伝

□櫛
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道場で稽古をしていると戸ががらっと音を立てて開き、大石さんが中に入ってきた。


「邪魔するよ。」

「えぇ、いらっしゃいませ。久しぶりですね、大石さん。」


彼は連日ここに来て、何をするでもなく私達が稽古をするのを眺めていたが、数日姿を見せていなかった。


「あぁ、ちょっとね。」


そう言ったきり大石さんは黙って、壁を背に道場の隅に腰を下ろした。

そしていつも通り稽古を眺めるつもりのようだ。
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