novel
□うるわしのきみ
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遠くから、爆発音が空気にのって振動と共に響いてきた。
草むらに少年二人が腹ばいになり、遠く立ちのぼる噴煙を見上げた。
「新国連軍か?」
「ああ。全部墜ちた」
「カノンを連れてくればよかったな」
少年一人が不安げにもらす。
もう一人は煙から目を離さず、つぶやいた。
「彼女が現役だったのはもうだいぶ前だ。情報が古い。−さて、行こうか」
「は?どこに」
立ち上がった少年が、長めの黒髪をがしがしとかきあげる。
「…あそこだよ」
指差すは黒い煙。
「…やっぱり?」
少年は走り出していた。
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