novel

□ひとつのたましい
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それは、島の中では割と堅牢な造りの建物だった。


「総士…いるかな」

一騎は、建物の中を覗き、友の姿が見えないのを確認する。
それは、総士が以前父親と暮らしていた家だった。

「まだ地下かな」
独り言をつぶやきつつ、一騎は昨日のことを思い出していた。

初めてのフェストゥムの襲撃によって、総士は父親を失った。それからあまりこの家には戻ってないらしい。

アルヴィスの地下にある彼専用の個室が、彼の家のようなものだった。
だから、総士が自分に
「うちにこないか」

と云った時、最初は、地下の個室を思い出したのだ。
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