novel

□サイレン
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夢だと思っていたものは、現実の続きだったりすることがままある。


その部屋の天井の木目を見ていると、雲が渦を巻いているようだった。
まるで、フェストゥムの来襲のような。


左側に何回か寝返りを打とうとして、失敗した。
一騎は、意識が深いところからふぅっと浮上するのを感じた。
「あ…」

無理だ。
ぴったりと一騎の左側に、人が横たわっている。
その亜麻色の髪が一騎の肩に広がっていた。
「…」

総士の寝息が左腕にかかっている。
総士の肩の向こうに、かろうじて見えるのは衛の足。
首だけ右に向けると、剣司の後頭部。
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