novel
□ひなどりたち2
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総士の手を引いて、医務室から連れ出した。
赤い瞳がこちらを見て
「昼間は出ない方がいい」
とか云ってきたが無視した。
総士と再会して、1か月が過ぎていた。
医務室に毎日通って、なんとか今日連れ出したのだ。
地下は静か過ぎた。
澄み切った蒼穹のもと、総士の手を引く。
おとなしく手を引かれるままの総士が少し心配で振り向く。
「離していいか?」
なんて聞くので
「…駄目」
と云っておく。
これで手を離す機会を完全に失った。
「どこまで行くんだ?」
「ひとり山…かな」
あと、前に皆で泳いだ海とか。