□星空in地下都市
1ページ/4ページ

空を見上げたら満天の星空


そんな星に住みたかった。
今となっては夢の話。

幼い頃読んだ本に載っていた挿絵が、
今でも僕の心を捉えて放れない。
ただ蒼い暗闇の中、
白い星だけが光っていた…






「僕らの地下都市には何でもあるじゃないか」

草加は不満げに僕に抗議した。
まるで、何が不満なんだ?と言う様に。

僕らの住む地下都市にはお空が無いよ、
と言ったところで、
草加は僕の気持ちを理解しようとしてはくれない。

理解してもらおうなどと思ったことは一度も無いけど、
親友の草加にまで他の人たちと同じ反応をされると悲しい。


僕は星空が見たいんだ。






日常の中の小さな不満は、
次第に僕の心の中を埋め尽くしていく。

勉強をしていても、テレビを見ていても、草加と遊んでいても、
どこかしら物足りない部分が僕の中には常にあるのだ。


そんなある日、
僕は不思議な夢を見た。

道化師のような厚ぼったい服を身にまとった
僕よりも背の高い兎が、
僕に話しかけている。

何を言ってるのか聞こえない。
まるで、耳が悪くなったみたいに、聞こえないのだ。


しかし、
毎日のように同じ夢を繰り返し見るのにつれて、
その兎が何を言っているのか聞こえるようになってきた。


昨日の夜で、
兎は僕らと同じ言葉を使っているということがなんとなくわかって、
声は青年のようだ、ということがわかった。

今日の夜、また兎の夢を見たらきっと
何を話しかけているのかが解るだろう。
僕はわくわくして眠りについた。
まるで、クリスマスにサンタが訪れるのを楽しみにしている子供みたいに…。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ