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□狼ちゃんと赤頭巾くん。
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妾が1番、強い、はずだ。


「妾は!妾が狼の王たる存在と聞き奉っておった…!それの何ぞ違うや!?」
「全然違う」
真緒の発した問いに対する縞の返事はそっけなかった。

「人を束ねることと強いことは全くの別物だよ。そうだろう、束ねられる側の黒狼"水流"?」

「あ、あたしの、名前…っ」
なんで、という言葉は音にならず終わった。

うん、と返す。
「有名だよ、璃憂が美味しそうだって言って聞かない。絶望がいっぱいだって」


ばさり。
羽根が広がる。
きらり。
黒い爪が光る。

「だから2人共。璃憂の餌になりなよ」







「…変なのぉ。璃憂の血がもっと欲しくナイの?」
ねぇねぇ、と檻をつつきながらのんびりと問う。
「璃憂の躰のコトは璃憂が1番分かってるんだよ。ね、欲しいでしょ?ホントのコト言っても怒らナイから」

「ね、Mamma?」


檻の中には、銀色の髪を持つ女がいた。

「貴様の血など穢らわしくて飲めはせぬわ。貴様には誇りというものがないのかの。"神狼"が聞いて呆れる」
人を小馬鹿にしたような笑い方だ。

「うる、さい、よっ。この、女狼…璃憂の気持ちなんて誰にも分からないんだから…!!」


「消えちゃえ」

血飛沫が、舞う。

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